Vol 1. CONNECT試験:非インスリン療法中の成人2型糖尿病患者におけるCGMの有用性を検討するランダム化比較試験(RCT)
CGM for Adults with Type 2 Diabetes Not on Insulin Therapy the CONNECT Randomized Controlled Trial
Oser T, et al
持続グルコースモニタリング(CGM)は、インスリン療法中の2型糖尿病患者における有用性が示されています。一方、非インスリン療法中の2型糖尿病患者に対するCGMの有用性は小規模な試験での報告にとどまっており、十分な検出力を有するRCTは限られていました。
CONNECT試験は、非インスリン療法中の2型糖尿病患者におけるCGMの有用性を検討する多施設共同RCTです。本講演では、その有効性や安全性が報告されました。
試験概要
米国のプライマリケアの診療所22施設において実施された研究であり、詳細は以下のとおりです。
⚫️対象
HbA1c 7.5%以上の非インスリン療法中の2型糖尿病成人患者283例
以下のいずれかに1:1の割合でランダムに割付けられた。
● Dexcom G7 CGM群(CGM群):145例
● 通常診療群:138例
⚫️方法
CGM群では26週間を通して非盲検でリアルタイムCGMが使用され、通常診療群ではベースライン、4週、13週、26週時点で盲検化されたCGMデータが収集された
⚫️観察期間
26週間
⚫️主要評価項目
ベースラインから26週時までのHbA1cの変化量
⚫️安全性評価項目
重症低血糖、糖尿病性ケトアシドーシスなど
結果
患者背景
●年齢:60±12歳
●人種・民族的マイノリティ:32%
●HbA1c:8.8±1.2%
●HbA1c 9%以上:31%
●TIR(70~180mg/dL):30±25%
●GLP-1受容体作動薬またはGIP/GLP-1受容体作動薬使用:40%
●SGLT2阻害薬使用:37%
※年齢、HbA1c、TIRは平均値±標準偏差
ベースラインから26週時までのHbA1cの変化量【主要評価項目】
●HbA1cは、CGM群で1.6%低下し、通常診療群では0.7%低下しました。
26週後における群間差は-0.9%であり、CGM群で有意な改善が認められました(P<0.001)。

重症低血糖、糖尿病性ケトアシドーシスを含む重篤な有害事象【安全性評価項目】
●重症低血糖および糖尿病性ケトアシドーシス/高浸透圧高血糖状態は、 CGM群、通常診療群のいずれにおいても認められませんでした。

Key Messages
CGMは非インスリン療法中の2型糖尿病患者において、通常診療群と比較してHbA1cを有意に改善し、その効果はGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬使用の有無にかかわらず認められました。さらに、その改善は使用開始後1週間以内に認められ、その後26週間にわたり維持されました。
監修医のコメント
CONNECT試験では、非インスリン療法中の2型糖尿病患者さんにおけるCGMの有効性が認められました。日本でも選定療養や生活習慣病管理料加算で非インスリン療法中の2型糖尿病患者さんにCGMを使用することが可能であり、治療変更前の有用な選択肢となる可能性があります。
ただし、CGMはあくまでもツールであるため、装着するだけで血糖マネジメントが良好になるわけではありません。重要なのは、CGMで得られたデータを患者さんの行動変容につなげられるかどうかです。
また、本試験では両群ともHbA1cが改善しており、何らかの介入そのものが血糖改善に寄与した可能性があります。CGMの価値を最大限に引き出すためには、データの見方や生活習慣の改善方法について、CGMをもとに医療者による適切な教育やアドバイスが重要であると考えます。
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
Vol 2. CONNECT試験:CGMによる血糖値の「見える化」が非インスリン使用の2型糖尿病患者の自己管理に与える影響
Empowerment Through Visibility: Lived Experiences with CGM vs. Routine Care in Adults with Type 2 Diabetes Not on Insulin
Gopisetty N, et al.
持続グルコースモニタリング(CGM)は、インスリン療法中の2型糖尿病患者における有用性が示されています。一方、非インスリン療法中の2型糖尿病患者に対するCGMの有用性は小規模な試験での報告にとどまっており、十分な検出力を有するRCTは限られていました。CONNECT試験は、非インスリン療法中の2型糖尿病患者におけるCGMの有用性を検討する多施設共同RCTです。本講演では、本試験に参加した患者への定性調査結果をもとに、CGMが自己管理や行動変容、心理面に与える影響について報告されました。
試験概要
以下の患者を対象にオンラインで半構造化インタビュー(事前に用意された質問項目に基づいてインタビューを進めつつ、患者の回答に応じて自由に質問を追加したり深掘りする柔軟な手法)が実施されました。詳細は以下のとおりです。
⚫️対象
12ヵ月間にわたるCONNECT試験の6ヵ月時点でランダムに抽出された患者30例
● Dexcom G7 CGM群(6ヵ月間リアルタイムCGMを使用):15例
● 通常診療群(CGMを使用せず通常診療を継続):15例
⚫️方法
インタビュー内容は録音・文字起こし後、内容分析およびテーマ分析を用いて評価した。また、解析の厳密性と妥当性を確保するため、複数の評価者が独立して解析を行った。
⚫️Limitation
定性的、探索的研究である。また、群間で年齢構成に偏りがあった。
結果
30例がインタビューに参加しました。
⚫️Dexcom G7 CGM群:15例[年齢:65±7歳(平均値±標準偏差)、男性:60%]
⚫️通常診療群:15例[年齢:54±14歳(平均値±標準偏差)、男性:60%]
解析の結果、以下の3つのテーマが示されました。
1️⃣ 血糖値の「見える化」と意思決定への影響
Dexcom G7 CGM群
●血糖値をリアルタイムで確認できることで、自信をもってデータに基づく意思決定を行えるようになりました。
通常診断群
● 手探りで管理を行う場面が多く、行動と結果(血糖値)との関連を把握しにくい傾向がみられました。
2️⃣ 行動・生活習慣の変化
Dexcom G7 CGM群
● 血糖変動パターンに基づく個別化された管理が可能となり、持続的な行動変容につながっていました。
通常診断群
● 個別に応じたサポートが限られていたため、生活習慣の改善に一貫性を保つことが難しい傾向がみられました。
3️⃣ 心理的・感情的な影響
Dexcom G7 CGM群
● 認知的負担が軽減され、自己管理に対する自信、主体性、将来への希望が高まる傾向が認められました。
● また、一部の患者からは、「より早い段階でCGMを利用できていれば、自己管理や精神的な健康状態の改善につながった可能性がある」との声も聞かれました。
通常診断群
● 明確なフィードバックが得られないなかで、「普段どおりに過ごしたい」「自分でコントロールしたい」との声が聞かれました。
Key Messages
CGMは非インスリン療法中の2型糖尿病患者において、不確実性の軽減や自己管理に対する自信向上につながる可能性が示されました。また、CGMを通常診療に組み込むことは、自己管理のサポートにおける課題を補完し、 2型糖尿病患者の日々の自己管理を支援できる可能性が示唆されました。
監修医のコメント
本研究で重要だったのは、CGMによって患者さん自身が血糖変動を「見える化」できた点です。CGMを用いることで、自分の行動と血糖値の変化との関係が理解しやすくなり、行動変容が起こりやすくなる可能性があります。
一方で、CGMは常に数値が見え、アラートが鳴るため、設定によっては心理的負担につながる懸念もあります。アラートは患者さんの行動変容をサポートする重要な機能ですが、個々の患者さんに応じた設定を行うことが大切です。
また、本研究は米国で実施されたものであり、日本でも同様の心理的効果が得られるかについては今後の検証が必要と考えます。
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
Vol 3. 妊娠糖尿病のマネジメントにおけるCGMの活用:リアルワールドデータを用いた多施設共同研究
Real-world Use of CGM in Gestational Diabetes Management: A Multi-site Clinical Study
Valent A, et al.
妊娠糖尿病(GDM)の診断は予期せぬものであり、診断後、患者は速やかに適切な自己管理を開始することが求められます。
本講演では、GDMを対象に、持続グルコースモニタリング(CGM)使用状況や満足度、QOLへの影響を評価した多施設共同研究の結果が報告されました。
試験概要
3施設が登録された多施設共同研究であり、詳細は以下のとおりです。
⚫️対象
GDMと診断された女性50例
● A1(薬物療法なし)群:18例
● A2(薬物療法あり)群:32例
⚫️方法
標準化された患者教育シートを提供し、妊娠期間中、Dexcom G7 CGMを用いて血糖モニタリングを実施した。GDMのマネジメントは各施設の産科医が行った。
⚫️評価項目
CGM指標および産後における満足度調査
⚫️Limitation
母体・新生児アウトカムおよび血糖アウトカムを評価するための十分な検出力を有していなかった。対照群が存在しなかった。
結果
⚫️BMI 31.0(四分位範囲 23.3, 36.8)、白人31例(62%)、CGM未経験者41例(84%)でした。
⚫️CGMは、観察期間中の93%の日数で装着されていました。
⚫️両群間で夜間のCGM指標に有意差が認められました。
⚫️満足度については、88%がSMBGと比較しCGMを好むと回答しました。
⚫️一方で、血糖値に対する不安、睡眠の妨げ、アラームによる疲労、およびデータに関する問題などもみられました。
GDMと診断された女性の血糖プロファイル

産後における満足度調査
⚫️88%の患者がSMBGよりもCGMを好むと回答しました。各項目の結果 からは、CGMがQOLを向上させ、血糖値に関する新たな気づきをもたらしたことが示されました。
⚫️一方で、血糖値に対する不安、睡眠の妨げ、アラート疲れ、データに関する問題などが課題として挙げられました。

Key Messages
GDMにおいてCGMは継続的に使用されており、CGMは妊娠中の自己管理およびQOL改善に寄与する可能性が示唆されました。また、CGMは、薬物療法中の患者における治療の最適化につながる可能性も示されました。一方で、CGMを用いた自己管理や健康管理を最適化するうえで、妊婦へのさらなるCGM教育の重要性も明らかとなりました。
監修医のコメント
本研究では、食事・運動療法のみの群とインスリン等の薬物療法が必要な群が比較されており、CGMを使用することで妊娠中の体重増加が抑えられる可能性が示唆されました。特に、夜間には把握できなかった血糖変動が「見える化」されることで、インスリン導入の適切なタイミングや、食事療法の改善につながる点が有用だと考えます。
ただし、夜間にアラームが鳴ることで睡眠の質が下がる懸念もあります。また、本研究には対照群がなく、CGMを使用したこと自体が母体アウトカムの改善につながったかどうかは判断できません。現時点では、CGMによる血糖の「見える化」が適切な治療介入につながる可能性を示した研究として捉えるのが妥当と考えます
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
Vol 4. 成人2型糖尿病患者におけるDexcom CGMデバイス使用と主要心血管イベントリスクとの関連
Dexcom Continuous Glucose Monitoring Use and the Risk of Major Adverse Cardiovascular Events in Adults with Type 2 Diabetes
Neeland I, et al.
2型糖尿病患者は心血管疾患(CVD:cardiovascular disease)のリスクが高く、血糖マネジメント不良はそのリスクをさらに高めることが知られています。本講演では、リアルワールドデータを用いて、Dexcom持続グルコースモニタリング(CGM)デバイスの使用と主要心血管イベント(MACE:major adverse cardiovascular events)リスクとの関連を評価した結果が報告されました。
試験概要
Dexcom CGMデータと連結された米国電子カルテデータベース (Truveta) を用いた後ろ向き観察研究であり、詳細は以下のとおりです。
⚫️対象
CVD既往歴の有無にかかわらず、強化インスリン療法中の成人2型糖尿病患者
● CGM群(Dexcom CGM使用、48,317例)
● 非CGM群(961,430例)
⚫️起点日
2018年1月1日から2024年6月30日における初回CGMデータのアップロード日またはランダムに選択されたインスリン処方日
⚫️追跡期間
2.1年 (中央値)
⚫️主要評価項目
初回の非致死性心筋梗塞(MI)、脳卒中、心血管関連死までの期間
⚫️副次評価項目
心不全による入院・あらゆる原因による入院・全死亡・低血糖までの期間、HbA1cの変化量
起点日(年)、患者背景、併存疾患および薬剤使用状況のバランスを調整するため、サブクラス化傾向スコア法を用いて両群間を均衡化した。その後、マッチングされたデータに対してCox回帰解析を用いてアウトカムのリスクを比較し、HbA1cの変化についてはCGM使用の有無と追跡期間の交互作用項を含む線形混合効果モデルを用いて評価した。
結果
非CGM群と比較したCGM群の結果は、以下のとおりです。
初回のMI、脳卒中、心血管関連死までの期間【主要評価項目】
心不全による入院・あらゆる原因による入院・全死亡・低血糖までの期間【副次評価項目】
● CGM群では心血管死リスクが23%、心不全による入院が16%、全死亡リスクが23%低下しました。
● 一方で、低血糖のリスクは非CGM群と比較してCGM群で高い結果 [ハザード比(HR)1.66]でした。
CGM群
● MI:HR 0.95
● 脳卒中:HR 0.95
● 心血管関連死:HR 0.77
CGM群
●心不全による入院: HR 0.84
●あらゆる原因による入院: HR 0.89
●全死亡:HR 0.77


HbA1cの変化量【副次評価項目】
CGM群
⚫️HbA1cの変化量:非CGM群と比較して0.4%有意に低下しました。
ベースラインのHbA1cが7%超で、少なくとも1回の追跡測定を受けた患者を対象とした。
HbA1c変化量の群間差は、追跡期間中におけるCGM群のHbA1c低下量が、非CGM群と比較してどの程度大きかったかを示す。
Key Messages
Dexcom CGMデバイスの使用は、強化インスリン療法中の2型糖尿病患者におけるHbA1cの有意な低下、ならびにMACE、入院、死亡リスクの低下と関連していました。これらの結果は、CGMが血糖マネジメントに加え、長期的な心血管アウトカム改善にも寄与する可能性を示唆しています。
監修医のコメント
本研究では、CGM群でMIや脳卒中などの心血管イベントや入院、全死亡のリスク低下が示されました。CGMを活用した血糖マネジメントが長期的な心血管アウトカムの改善につながる可能性を示唆する興味深い結果です。
一方で、本研究は観察研究であり因果関係を証明するものではありません。CGMを継続して使用できる患者さんは、もともとヘルスリテラシーが高い可能性もあります。また、重症低血糖がCGM群で多かった点についても、CGM群の方が医療機関受診につながりやすかった可能性が考えられます。
結果の解釈には注意が必要ですが、CGMによる血糖マネジメントが心血管アウトカムの改善への寄与を示唆する結果と考えられます。
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
Vol 5. 成人1型・2型糖尿病患者におけるCGM指標によるeGFR30%以上低下の予測
Continuous Glucose Monitoring Metrics Predict 侒30% eGFR Decline Among Adults With Type 1 and Type 2 Diabetes
Okuno T, et al.
慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)患者では赤血球の寿命の変化などにより、HbA1cが実際の血糖状態を正しく反映できないことがあります。そのため、HbA1cでは捉えきれない血糖パターンを反映する持続グルコースモニタリング(CGM)指標は、CKD患者において重要と考えられています。しかし、これまでCGM指標と腎アウトカムとの関連を評価した研究は、症例数やCGMデータの収集期間が限られていました。
本講演では、大規模コホートにおけるCGM指標と腎アウトカムとの関連を評価した研究結果が報告されました。
試験概要
Dexcom CGMデータと米国退役軍人医療システムの電子カルテデータを統合した後ろ向き観察研究であり、詳細は以下のとおりです。
⚫️対象
2015年~2020年にかけてDexcom CGMデバイスを導入した、21歳以上の1型および2型糖尿病の米国退役軍人2,500例
除外基準:
● ベースライン時に末期腎不全を有する患者
● ベースライン時または追跡期間中におけるeGFRデータが欠損している患者
● ランドマーク期間中にアウトカムが発生した患者
⚫️起点日
Dexcom CGMデータが初めて取得可能となった日
⚫️ランドマーク期間
起点日より14日間または3ヵ月間
ランドマーク期間中に以下のCGM指標を算出した。
● 平均血糖値、TAR、TIR、TITR、変動係数(CV)、血糖リスク指数(GRI)、平均血糖変動幅(MAGE)、平均血糖値の±1標準偏差を超えた範囲(MGE)
また、ランドマーク期間とその後の6週間におけるHbA1c平均値を算出した。
※ただし、14日間のランドマーク期間については測定回数が限られているため、 HbA1cは算出しなかった。
⚫️追跡期間
3.6年 (平均値)
⚫️主要評価項目: eGFR30%以上低下
追跡期間中にeGFRがベースラインから30%以上低下し、30日以上経過した後の測定でも確認された場合(2回の値の平均が60mL/min/1.73m²未満、かつベースラインから30%以上の低下であること)と定義した。
⚫️副次評価項目:新規CKD発症
eGFR<45mL/min/1.73m²またはUACR㱢30mg/gが30日以上継続した場合と定義した。
Cox比例ハザードモデルを用いて段階的な調整を行った。まず、CGM指標またはランドマーク期間中のHbA1c平均値のみを投入した単変量解析を実施し、次にベースライン時の年齢で調整した解析を行った。さらに、性別、人種、糖尿病の病型、喫煙状況、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、総コレステロール、トリグリセライド、eGFRおよびuACRを共変量とした多変量解析を実施した。加えて、ランドマーク期間中のHbA1c平均値で追加調整した解析を行った。欠測値は、連鎖方程式による多重代入法により補完した。
結果
eGFR30%以上低下【主要評価項目】および新規CKD発症【副次評価項目】
⚫️平均血糖値、TAR、TIR、TITRおよびGRIは、eGFR30%以上低下および新規CKD発症と関連していました。これらの関連はHbA1c平均値を追加調整した後も大きく変化せず、14日後および3ヵ月後の解析で概ね一貫した傾向が認められました。


Key Messages
平均血糖値や血糖関連指標、および一部の血糖変動指標は、HbA1c平均値とは独立して腎アウトカムと関連していました。また、14日間という短いデータ収集期間であっても、CGMが腎リスク評価に活用できる可能性が示されました。
監修医のコメント
本研究では、平均血糖値やTIR、TARといったCGM指標が、将来的なeGFR低下と関連することが示されました。CKD患者さんではHbA1cが実際の血糖状態を十分に反映しない場合もあるため、CGMによって得られる詳細な血糖管理状況が腎予後の予測に役立つ可能性があります。また、14日間という比較的短期間でもCGM指標とeGFR低下の関連が認められた点は臨床的に興味深い結果です。
ただし、CGMは装着するだけで効果が得られるものではありません。CGMを活用した栄養指導や生活習慣指導などの介入を適切に行うことで、より大きな臨床的価値が期待できると考えます。
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
Vol 6. 非インスリン療法中の2型糖尿病患者におけるCGM導入後の入院回数および関連医療費の減少
Reduction in Inpatient Visits and Associated Medical Costs after CGM Initiation among Medicare Advantage (MA)
Beneficiaries with T2D Not on Insulin Therapy (NIT)
Hannah K, et al.
2型糖尿病による入院は、患者にとって大きな負担となるだけでなく、医療費の増加にも大きく寄与しています。
本講演では、CGM未経験であり、非インスリン療法中の2型糖尿病患者を対象に、CGM導入前後における入院回数および関連医療費の変化について評価した結果が報告されました。
試験概要
Optum Clinformatics®の匿名化されたデータベース(2016年9月~2024年12月)を用いて、後ろ向きレセプトデータ解析を実施しました。
⚫️対象
非インスリン療法中の2型糖尿病患者6,801例
主な選択基準は、以下のとおりである。
● 起点日より12ヵ月以内に1回以上の入院歴あり
● CGM未経験であり、2017年9月1日から2023年12月31日の間にCGMを新たに導入した者
● Medicare Advantage(米国の公的医療保険プログラム)加入者
⚫️起点日
CGM関連の初回請求日
⚫️評価項目
CGM導入前12ヵ月(ベースライン)と導入後12ヵ月(追跡期間)における、
● あらゆる原因による入院回数の平均値
● 糖尿病関連による入院回数の平均値
● 関連医療費の変化
糖尿病関連による入院には、糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖、高血糖関連のイベントが含まれた。
医療費はステークホルダー(患者および医療費を支払う保険者)ごとに層別化して分析し、群内差はpaired t-testを用いて評価した。
⚫️Limitation
CGMを導入された患者の選択に伴う選択バイアスが存在する可能性がある。後ろ向き観察研究であるため、因果関係を直接示すことはできない。
対象集団がMedicare Advantage加入者に限定されており、結果をMedicare対象者全体へ一般化できない可能性がある。
結果
⚫️ 年齢は72.3±8.3歳(平均値±標準偏差)、男性の割合は52%でした。
⚫️ CGM導入後、あらゆる原因による入院回数および糖尿病関連による入院回数が有意に減少し、それに伴い保険者および患者双方において関連医療費の削減が認められました。
ステークホルダー (負担者) 別の入院回数および関連医療費
ベースラインと追跡期間における関連医療費の変化
⚫️ CGM導入後、患者負担および保険者負担のいずれにおいても、入院関連医療費が有意に減少しました。

Key Messages
非インスリン療法中の2型糖尿病患者において、CGM導入後、あらゆる原因による入院および糖尿病関連による入院が有意に減少しました。また、保険者および患者双方において関連医療費の削減も認められました。
監修医のコメント
本研究では、非インスリン療法中の入院歴がある2型糖尿病患者さんにおいて、CGM導入後1年間で糖尿病関連の入院回数や医療費が減少したことが報告されました。あらゆる原因による入院回数も減少していますが、これには他疾患など関連性の低い要因も含まれるため、糖尿病関連の入院回数が減少した点に注目すべきと考えます。一方で、前回の入院時に行われた治療や介入の影響も考慮する必要がありますが、今後はこうした医療経済的なアウトカムも含めてCGMの価値を評価していくことが重要です。
北里大学 看護学部基礎看護学 教授 林 哲範 先生
